面白い仕事とおいしい年収を得るため、イノベーションのジレンマを使ってみる
イノベーションのジレンマとは、競争に勝つためには自社を市場に適応させなければならないが、適応した結果市場の変化に対応できなくなる、ということを意味します。主な論旨を書きますと、
- 既存の勝ち組企業は、技術力を上げ、社内のリソースを最大効率で配分するシステムを作り上げることにより、勝者の地位を築く。
- 一方、既存の市場を覆すような新技術(破壊的技術)は、初期段階においては並の技術力であるために価格が安く、そのため利益率が低い。
- このため、効率的なリソース配分システムを持つ企業は採用しない。
- しかし、市場において、製品の技術進歩の速度が、顧客の利用能力の速度を超えてしまった場合、すなわち、顧客が今の製品の性能に満足していて、これ以上の技術の発展には興味を示さない場合、技術は並の製品でも顧客は喜んで購入しようとする。
- 結果、既存の勝ち組企業は、破壊的技術を有する新興企業によってローエンドの市場から徐々にシェアを奪われていき、最終的には高品質で利益率は高いが規模は小さいマニア層の市場に追いやられてしまう。
という流れになります。
これを社内における、面白い仕事とおいしい年収を得るための仕事の奪い合いに置き換えて考えてみます。各用語は、以下のように置き換えます。
- 市場→部署の仕事
- 製品→仕事の成果
- 技術力→担当者の仕事の処理能力
- 社内のリソース配分→担当者のリソース配分
- 価格→管理職からの評価
- 利益率→担当者が獲得する報酬(給料・地位)
- 既存の勝ち組企業→できる先輩(今、面白い仕事とおいしい年収を得ている人)
- 新興企業→若手
- 顧客→管理職
置き換えた結果は以下の通りです。
- できる先輩は、仕事の処理能力を上げ、自身のリソースを最大効率で配分するシステムを作り上げることにより、勝者の地位を築く。
- 一方、今までの部署の仕事を覆すような新しい仕事(破壊的仕事)は、初期段階においては並の処理能力でこなせるために管理職からの評価が低く、そのため報酬(給料・地位)が低い。
- このため、効率的なリソース配分システムを持つ、できる先輩はそんな仕事は引き受けない。
- しかし、部署の仕事において、仕事の成果に求められる処理能力進歩の速度が、管理職の要求する水準の能力の進歩速度を超えてしまった場合、すなわち、管理職が今の仕事の成果水準に満足していて、これ以上の処理能力の発展には興味を示さない場合、成果が並の社員でも管理職は喜んで仕事を任せようとする。
- 結果、できる先輩は、今までの部署の仕事を覆すような新しい仕事(破壊的仕事)を担当する若手によってローエンドの仕事から徐々にシェアを奪われていき、最終的には地位は高いが規模は小さいマニア層の仕事に追いやられてしまう。
・・・少々苦しいですが、なんとか置き換えられます。このことから、面白い仕事とおいしい年収を得るには、できる先輩の後をがむしゃらに追いかけるのではなくて、「今は評価は低いけど、将来は高い評価を得られそうな仕事」を掘り当てることを心がけるのが良いのじゃないか、と思いました。
参考リンク
「努力すればスキルが向上して上に昇れる」というのは幻想 - 分裂勘違い君劇場 by ふろむだ
イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)
- 作者: クレイトン・クリステンセン,玉田俊平太,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2011/12/20
- メディア: 単行本
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