botを取り込むメリットとデメリット

http://naoya.g.hatena.ne.jp/naoya/20060507/1146985459を読んで、この「ボットを否定するのではなく、一般とは隔離しながらもその存在を肯定してハックを楽しんでみてよ、というスタンス」にとても面白さを感じました。方向性としては、Mac OS Xのハッキングコンテストみたいなものでしょうか?あるいはワンピースでいう七武海(政府公認の海賊狩り専門海賊)とか?
冗談はさておき、ボットを作っている人を肯定して、取り込むことによるメリットとデメリットをざっと考えてみました。

  • ボットを作っている人のメリット
  • サービス側(はてな)のメリット
    • セキュリティホールの発見
    • クラッキングの防止
      • クラッカーがコンテストに参加するようになれば、コンテスト前まではハッキングの方法は伏せておこうとする。結果、一般ユーザーへの被害が防止できる。
    • 宣伝効果
  • ボットを作っている人のデメリット
    • 管理されてる感
      • サービス側に管理されては、暗い喜びが得られない
  • サービス側(はてな)のデメリット
    • クラッキングのブームを招く可能性
      • はてなで腕を磨いたクラッカーが他社のサイトを攻撃する危険性
    • はてなクラッキングOKなサイトだと勘違いされる可能性
      • 一般ユーザーが不安を感じて、敬遠するかも

印象としては、ハッカーを制御しきれるかどうかが正否のカギとなりそうです。難しそうですが。ただ、従来ならあまり望ましくなかったであろうハッカーをも、自社サイトのデータベースとして取り込もうとする姿勢は、目から鱗なすばらしいアイデアだと思います。清濁併せ呑むweb2.0といったところでしょうか。
前回のエントリーで述べたように、ハッカーに対して、はてなから段階評価すると面白いかもれません。実績に応じてハッカーLv Aaなどの評価を与えるとか。はてな七武海の名称を与えるとか。
で、はてなアイデアの採用数とかはてブとかダイアリーでも、はてなランキングを作るとか。さらに各ランキングに応じてはてなポイントを送り、総合ランキングをワンピースの懸賞金みたいに作るとか。あれ、あの人七武海なのに8100 万ベリーなんだ、とか出てくるかもしれません。はてな七武海の予測市場とかも面白いかも。なんだか迷走してきたので、このまま締めます。好き勝手言ってすみません・・・・。

「段階的なユーザー評価」がはてなのとっつきやすさへのモチベーションとなる

前回のエントリー後、はてなから「はてなダイアリー市民と認められたお知らせ」が届きました。

本日より、dodolabyさんは「はてなダイアリー市民」になられましたのでお知らせいたします。
はてなダイアリー市民とは、ユーザー登録されてから30日分の日記を書き、なおかつ最近30日以内に日記をお書きになったユーザー様のことです(市民になるための手続きや費用などはいりません)。dodolabyさんは、この条件を満たされましたので、本日から、はてなダイアリーで次のようなことを行っていただけます。

ちょっと嬉しいかも。
はてなダイアリー市民」なる特権階級(と書くと大げさですが)が存在しているのは、ぼんやりと覚えていたのですが、成り方まではチェックしていませんでした。全く予想していなかったため、サプライズパーティ(自分の部屋に入ったら突然クラッカーが鳴って、おめでとう、おめでとう、と祝われる米国式のアレです)を開かれた感じで、ちょっと気分が良いです。はてなダイアリーへのモチベーションも湧いてきました。
やはり、段階的にユーザーを評価するシステムは、ユーザーにコミュニティへの愛着と有能感を与え、モチベーションを上げるのに大いに役立つのだなあ、と再確認しました。ニンテンドーDSの英語漬けでも、1つ問題を解くごとに「Good!」と褒め、あるレベルをやり遂げればボーナスとして機能追加される仕組みが採用されています。ドラクエでもレベルが上がるとファンファーレで祝福してくれます。こういった細かい段階ごとの評価が、細かくユーザーのモチベーションを上げていってくれるわけです。
そんなわけで、前回のエントリーで「ユーザーに学習する覚悟を要求するようなブログでは、ユーザーは他の簡単なインターフェースのブログに流れてしまうし、技術が標準化されてもやっぱり簡単なインターフェースでその技術を採用したブログに流れてしまうのではないか?」という内容の疑問を書きましたが、「段階的なユーザー評価」がそれをある程度解決できるのでは?と考えました。
例えば、初めてトラックバックを送ったら

トラックバックおめでとうございます!dodolaby様の初めてのトラックバックを記念して、はてなポイントを5ポイント差し上げます!!ところで、はてなトラックバックにはこんな機能もあるんですよ(ヘルプへのリンク付き)。ためしに、こちらのテスト専用ブログまで新機能トラックバックを送ってみてください。テスト用ブログに正しく反映されましたら、はてなポイントを3ポイント差し上げます。

というような感じで。で、ある程度はてな機能を使ったら「はてなレベル」を1UPさせてみたりして、ユーザーに成長している実感を与えてみるわけです。「はてなレベル」についても、ダイアリーに限らず、はてな機能全部を「経験値」の対象にすれば、ユーザーにはてなの機能に対する興味を訴求することができるでしょう。あるいは、はてブと連動させて「レベルB以上のユーザーがブクマした記事のみ表示」というフィルタリング機能を与えるのも情報整理に役立つかもしれません。
はてなGoogleを目指す、と言われていますが、Googleに無くてはてなにあるものは、人間臭さにあると思うのです。見知らぬギークが突っ走っているのがGoogleなら、憧れのあんちゃんが集まっているのがはてな。この暖かさというかやわらかさを生かしていけば、「一生日記を書く覚悟」がユーザーに無くても、はてなを使ってくれるんじゃないかな、とふと思いました。

はてなダイアリーに必要なのは標準化でも説明書でもなくマニュアルなのでは?

マニュアルなんてものを見るのは基本的に理解不足のアホなので、マニュアルはアホにでも分かるように書かれてなくてはなりません。でも、アホというのも千差万別で、どんなアホにも分かるように書こうとすると、とんでもなく分厚い”説明書”ができてしまいます。アホに構想を理解させるのが説明書だとしたら、理解できなくても最低限の機能を理解できるようにするのがマニュアルなわけです。
はてなのヘルプは、いろいろと一杯書いてあるのだけれど、どこになにが書いてあるのか分からない、分厚い説明書。はてなユーザーの拡大、すなわちライトユーザーの獲得に必要なのは、ユーザーが慣れれば使えるようになるヘルプじゃなくて、慣れなくても(一生コードが理解できなくても)最低限の機能が理解できるマニュアルだと思うのです。
トラックバックは、構造を理解しなくても、互いのブログを結びつけるものだと言う機能は理解できました。それは、トラックバックのボタンを押せば、自分のブログと友達のブログを結ぶことができる、という小学生でも分かる機能ゆえです。

「たとえ、はてなダイアリーの書き方が少し難しかったり、すぐには分からなくても、ブログは一生書くものと分かっていて、世界どこでも使えるとなったら覚えるはず」
はてなが目指す「世界標準」 (1/2) - ITmedia NEWS

「ブログは一生書くもの」と捉えて書いている人はそんなに多いのでしょうか?むしろ、友達との軽いコミュニケーションであったり、なんだか面白そうなのでちょっと始めてみる、という人の方が多数派なのではないでしょうか?日記を書くのに「これは一生書き続けるものだ。」と決意して始める人はそんな多く無い気がします。
また、はてなダイアリーの記法を覚える、という作業はPC初心者にとってはかなりの壁となります。それでもブログがはてな以外無いのなら、皆覚えようと努力するかもしれないですが、現実にはそこらじゅうで提供されているわけです。
たとえ、はてなのやり方が標準化されても、それを使いこなすのに「構造を理解する努力」をユーザーに求められるとしたら、その技術は世間(その内、大多数を占めるライトユーザー)に受け入れられるのでしょうか?もし、はてなの標準化された技術を簡単なインターフェースで提供する企業が現れたら、ひさしを貸して母屋を取られることにならないのでしょうか?
まあ、はてながライトユーザーをターゲットにするのではなく、ギーク御用達を目指しているのなら特に問題ないのでしょうけど・・・。

参考リンク
はてなが目指す「世界標準」 (1/2) - ITmedia NEWS
http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2006/05/post_348.html

ソフトバンク携帯はW-ZERO3あるいはBlackBerry?

標題のようなことを考えたのは、ソフトバンクは、現在、新規参入以前のキャリア(ドコモ、auボーダフォン)の首を絞めあげている代理店へのインセンティブ制度を廃止するのではないか、と考えているためです。
代理店へのインセンティブ制度とは、キャリアが携帯端末をメーカーから調達する価格よりも安い値段で代理店に卸売りする制度です。例えば、5万円でメーカーから調達して代理店に3万円で売却した場合、2万円がインセンティブとなるわけです。この制度のおかげでユーザーはハイエンドの携帯を数万円という低価格で購入できるようになっています。
この制度は、携帯がまだ一般に普及しきっていない頃は有効でした。端末だけでは赤字でも、その後の携帯の利用料金で黒字にすればよかったわけです。しかし現在においては、携帯端末の機能は高度化し製造コストも上昇する一方で、パケット定額制などにより利用料金は頭打ちになり、インセンティブ料金がキャリアの財務にのしかかってきたわけです。
ヤフーBB(ソフトバンクBB)で万年赤字に苦しんだ孫さんが、インセンティブ制度という恒常的に赤字を垂れ流すシステムを導入するとは考えにくいです。ゆえに、ソフトバンク携帯端末においては、インセンティブを導入しないのではないのでしょうか。結果、端末価格は高くなりますが、その分固定と絡めた通信料金の低価格路線で攻めていくことになるでしょう。
つまり、

  • 固定通信との利用料金の抱き合わせ+ヤフーという固定通信の№1ポータルの利用=携帯でiモードではないインターネットの実現

ソフトバンクの差別化要素となり、これに端末の高価格を飲み込ませた

こそが、ソフトバンクの出す端末の姿ではないか、と考えるのです。
さらに、いまだ端末をまとめ売りするするだけに留まっている法人部門という携帯業界の未開拓分野に対しても、システムと抱き合わせてブラックベリー的な機能を端末に追加することにより、強く訴求することができます。
つまり、ソフトバンクの戦略は、多くの人が期待しているような一般ユーザーに低価格携帯を提供する路線ではなく、ハイテクマニアや法人にターゲットを絞った路線ではないかと予測します。
孫さんのような聡明な経営者が、すでに頭打ちになりつつある市場に構造崩壊している制度で参入するとは考えにくいでしょう。端末でも利益を出しつつ、既存キャリアが進出していないブルーオーシャンを掠め取る、そんな後発としての自由さを生かした戦略を取ってくるほうがしっくりくるように思えます。

ソフトバンクのボーダフォン買収の先にある世界-yahooがネットの免許証となる世界

前回、ソフトバンク携帯のアカウントをyahooにするのではないか?と述べましたが、仮にそれが実行された場合に、ソフトバンクが目指すであろう世界(戦略)について述べたいと思います。
前回述べましたように、携帯のアカウントをyahooにしたユーザーは、PCと携帯の世界をyahooで一括管理できるようになります。そうしてソフトバンク携帯のユーザーが増えるに連れ、yahooのプレゼンスはより強大になっていきます。そうなった場合、次にyahooが取り組むのは、yahooのIDを使った認証APIでしょう。
具体的に言いますと、yahooのIDを使って、yahoo以外のSNSやブログも利用できるようにするのです。yahooのIDを使いたくないのであれば、外部からは別IDで見えるようにすればいいでしょう。例えば、ユーザーのyahooIDはdomdomで、はてなのIDはdodolaby、というようにしたい場合、yahooにdomdomでログインすれば、はてなにはdodolabyでログインした状態になる、という仕組みにすればいいわけです(技術的に可能かは分かりませんが)。
これが実行されれば、1つのIDで全てのCGMにログインし、かつ、外部からはバラバラのIDでログインしているように見せることができます。そうなれば、昨今の乱立しているSNSもyahooのIDひとつで満喫することができるようになります。結果、匿名ブログではモヒカン族、匿名SNSでは紳士、会社の外の友人との実名SNSでは職場の鬱憤を吠え、会社の人間との実名SNSでは無邪気なキャラを装う、というようにネットにおいてキャラの使い分けがシームレスにできるようになるのです。攻殻機動隊風にいえば、個を維持したままゴーストをネットに偏在させることができるようになるわけです。
これはyahooにとってもうまみがあります。全てのwebサービスをyahooIDで管理することにより、yahooのユーザーをより多くかつ長期的に確保できるようになります。プレゼンスも圧倒的になりますので、yahooIDと連動したければ手数料を徴収するようにすることも可能でしょう。
以上のような、個がyahooIDによって証明される世界、yahooIDがネットインフラの免許証となる世界、それこそがソフトバンクが目指す世界であると私は考えています。そしてその世界観は、FeliCaをリアル生活インフラの認証キーにしようとしているドコモのスタンスと対立します。もしかしたら、今回のソフトバンクボーダフォン買収をきっかけに、「ネットのyahoo(ソフトバンク)VSリアルのドコモ(NTT)」という対立軸が日本のインフラ業界全体を巻き込んでいく、そんな将来がやって来るのかもしれません。

タグでパーソナライズすれば、はてブの個人的濃度は上昇するのでは?

はてブの使い方が分かれてきた結果、自分的に興味の無いブクマが増えてきて困る、という意見が出ているようです。そこで、対応として考えたのですが、ユーザーごとに「表示して欲しくないタグ」を登録して、ブックマークを選別すればいいんじゃないでしょうか。
例えば、炎上や煽りに興味が無いのであれば、

というように。ただし、これだと自分にとって価値のあるブクマでも、誰かが[これはひどい]タグをつけていたら表示されないので、

  • [これはひどい]タグのブックマークでも、お気に入りユーザーがブクマしていたら表示するようにする。
  • [これはひどい]タグのブックマークでも、[○○]のタグが付いていたら表示するようにする。

という機能を追加するといいかもしれません。ただ、この方向ですと群集の英知路線ではなくSNS路線に進んでいくことになりますので、SBMの魅力を削いでしまうかもしれないですが。
参考リンク
http://d.hatena.ne.jp/skusunoki/20060310/1142003885
http://kojiru.jugem.cc/?eid=667

凡庸な新ブランド名がキャリアの戦略を覆す?

ソフトバンクボーダフォン日本法人を買収しましたが、買収後はボーダフォンブランドではなく、新ブランドで展開していくそうです。で、疑問に思ったのですが、新ブランドになったら、またメールアドレスのドメイン名は強制的に変更させられるのでしょうか?
もしそうなると、潜在的ボーダフォンに不満を持っていたけどMNPではメールアドレスが変更できないのでキャリアは変更していなかった、というユーザーが「いい機会だから」と他キャリアに移るきっかけになってしまいます。これを防ぐためには

  • 将来のサービス展開への期待感をユーザーに持たせる。
  • ドメイン強制変更時点で他キャリアよりも満足度の高いサービスを提供しておく。

のどちらかが要求されます。孫さんいわく、新ブランドのリリース時期は「今後半年から1年」で、サービスも半年後から出し始めるようなので、今後はまず、手っ取り早く低価格でユーザーをひきつけておいて、半年後からサービスを展開していく、という流れが常道でしょう。
問題はどのくらいの低価格を打ち出すかということですが、LBOは将来の期待収益を担保に借金するスキームなので、下手に価格競争に火をつけてしまうと命取りになりかねません(ソフトバンク本体の損失は2000億に留まりますが)。よって、それほど極端な低価格を提示することはないような気がします。ただ、このさじ加減は難しいものになります。なぜなら

  • 中途半端な低価格では、他キャリアも追随してきて差別化の意味が無い。
  • 他キャリアが追随できないような超低価格戦略を打てば、借金が返せなくなる。

という二律背反な状況に置かれるからです。
しかし、この状況を解決する方法があります。
まず、

のです。そして、以下のサービスを実行するのです。

  • 携帯のアドレスをPCと共有できるようにする。
  • 従来yahooのアカウントを持っている人は、そのメールアドレスでソフトバンク携帯が利用できるようにする。

こうすれば、現在yahooのアカウントを持っているユーザーはそのままソフトバンク携帯の潜在ユーザーとなります。
また、
・他キャリアの人間に対してもyahooドメインでの携帯メール利用を許可する。*1
というサービスを打ち出せば、「MNPではメールアドレスを変更しなくてはならないが、ソフトバンク携帯ならキャリアに依存しませんよ」と訴えることもできます。
これらのサービスを実行すれば、少なくともPCでyahooメールを使っているユーザーはyahooドメインを積極的に利用するようになります。そのうち、ソフトバンク携帯と違ってヤフーに直接アクセスすることはできない他キャリアに苛立ち、乗り換えようとするユーザーも多数出てくるでしょう。いやになったらまた戻ればいいのですから。つまりソフトバンクは、これまでキャリアが行ってきたユーザーを囲い込む戦略ではなく、ユーザーを解き放つ戦略を打ち出すことにより、巨大な訴求効果を生み出せるのです。まさに泥臭い営業などしなくても、シェアを一気に奪うことができるでしょう。
というわけで、私は新ブランドはズバリ「Yahoofone」のような、yahooブランドを前面に押し出したものになると思います。そしてドメイン名は上で述べた理由により、yahooになると予想します。凡庸すぎてつまらないかもしれませんが、大きな可能性を示唆する名前ではないでしょうか。

参考リンク
日本史上最大のディールについての簡単な感想: R30::マーケティング社会時評
ソフトバンク1.75兆円買収のワザ:LBO・ノンリコース・リードアレンジャー - ITジャーナリスト三上洋 事務所
ボーダフォンの新ブランド名は何になるのか予想 - キャズムを超えろ!
買収でボーダフォンユーザーはどうなる? (1/2) - ITmedia Mobile

*1:現在の携帯アプリを使ったメールサービスとは別物