ソフトバンクのボーダフォン買収の先にある世界-yahooがネットの免許証となる世界

前回、ソフトバンク携帯のアカウントをyahooにするのではないか?と述べましたが、仮にそれが実行された場合に、ソフトバンクが目指すであろう世界(戦略)について述べたいと思います。
前回述べましたように、携帯のアカウントをyahooにしたユーザーは、PCと携帯の世界をyahooで一括管理できるようになります。そうしてソフトバンク携帯のユーザーが増えるに連れ、yahooのプレゼンスはより強大になっていきます。そうなった場合、次にyahooが取り組むのは、yahooのIDを使った認証APIでしょう。
具体的に言いますと、yahooのIDを使って、yahoo以外のSNSやブログも利用できるようにするのです。yahooのIDを使いたくないのであれば、外部からは別IDで見えるようにすればいいでしょう。例えば、ユーザーのyahooIDはdomdomで、はてなのIDはdodolaby、というようにしたい場合、yahooにdomdomでログインすれば、はてなにはdodolabyでログインした状態になる、という仕組みにすればいいわけです(技術的に可能かは分かりませんが)。
これが実行されれば、1つのIDで全てのCGMにログインし、かつ、外部からはバラバラのIDでログインしているように見せることができます。そうなれば、昨今の乱立しているSNSもyahooのIDひとつで満喫することができるようになります。結果、匿名ブログではモヒカン族、匿名SNSでは紳士、会社の外の友人との実名SNSでは職場の鬱憤を吠え、会社の人間との実名SNSでは無邪気なキャラを装う、というようにネットにおいてキャラの使い分けがシームレスにできるようになるのです。攻殻機動隊風にいえば、個を維持したままゴーストをネットに偏在させることができるようになるわけです。
これはyahooにとってもうまみがあります。全てのwebサービスをyahooIDで管理することにより、yahooのユーザーをより多くかつ長期的に確保できるようになります。プレゼンスも圧倒的になりますので、yahooIDと連動したければ手数料を徴収するようにすることも可能でしょう。
以上のような、個がyahooIDによって証明される世界、yahooIDがネットインフラの免許証となる世界、それこそがソフトバンクが目指す世界であると私は考えています。そしてその世界観は、FeliCaをリアル生活インフラの認証キーにしようとしているドコモのスタンスと対立します。もしかしたら、今回のソフトバンクボーダフォン買収をきっかけに、「ネットのyahoo(ソフトバンク)VSリアルのドコモ(NTT)」という対立軸が日本のインフラ業界全体を巻き込んでいく、そんな将来がやって来るのかもしれません。