ソフトバンク携帯はW-ZERO3あるいはBlackBerry?

標題のようなことを考えたのは、ソフトバンクは、現在、新規参入以前のキャリア(ドコモ、auボーダフォン)の首を絞めあげている代理店へのインセンティブ制度を廃止するのではないか、と考えているためです。
代理店へのインセンティブ制度とは、キャリアが携帯端末をメーカーから調達する価格よりも安い値段で代理店に卸売りする制度です。例えば、5万円でメーカーから調達して代理店に3万円で売却した場合、2万円がインセンティブとなるわけです。この制度のおかげでユーザーはハイエンドの携帯を数万円という低価格で購入できるようになっています。
この制度は、携帯がまだ一般に普及しきっていない頃は有効でした。端末だけでは赤字でも、その後の携帯の利用料金で黒字にすればよかったわけです。しかし現在においては、携帯端末の機能は高度化し製造コストも上昇する一方で、パケット定額制などにより利用料金は頭打ちになり、インセンティブ料金がキャリアの財務にのしかかってきたわけです。
ヤフーBB(ソフトバンクBB)で万年赤字に苦しんだ孫さんが、インセンティブ制度という恒常的に赤字を垂れ流すシステムを導入するとは考えにくいです。ゆえに、ソフトバンク携帯端末においては、インセンティブを導入しないのではないのでしょうか。結果、端末価格は高くなりますが、その分固定と絡めた通信料金の低価格路線で攻めていくことになるでしょう。
つまり、

  • 固定通信との利用料金の抱き合わせ+ヤフーという固定通信の№1ポータルの利用=携帯でiモードではないインターネットの実現

ソフトバンクの差別化要素となり、これに端末の高価格を飲み込ませた

こそが、ソフトバンクの出す端末の姿ではないか、と考えるのです。
さらに、いまだ端末をまとめ売りするするだけに留まっている法人部門という携帯業界の未開拓分野に対しても、システムと抱き合わせてブラックベリー的な機能を端末に追加することにより、強く訴求することができます。
つまり、ソフトバンクの戦略は、多くの人が期待しているような一般ユーザーに低価格携帯を提供する路線ではなく、ハイテクマニアや法人にターゲットを絞った路線ではないかと予測します。
孫さんのような聡明な経営者が、すでに頭打ちになりつつある市場に構造崩壊している制度で参入するとは考えにくいでしょう。端末でも利益を出しつつ、既存キャリアが進出していないブルーオーシャンを掠め取る、そんな後発としての自由さを生かした戦略を取ってくるほうがしっくりくるように思えます。