本当にヤフーのコンテンツはキラーコンテンツとなるのか

ソフトバンクボーダフォンの買収後の成り行きについて、多くの人がヤフーのコンテンツがドコモとauの携帯コンテンツを駆逐し、ユーザーに大きな訴求効果をもたらすだろう、と推測されています。しかし、私はこの推測はPCユーザーの思い込みであり、ネット=携帯のユーザーにはヤフーは言われるほどの訴求効果はもたないのでは、と考えています。以下にて、その論旨をつらつらと。
ヤフーのコンテンツによりドコモとauのコンテンツが駆逐される、という考えの人は次のような前提を持っていると思われます。

  1. iモード(EZweb)はインターネットのまがい物である。みんな、まがいものではない本当のネットを使いたいはず!
  2. 携帯のコンテンツはポータルのコンテンツに劣っている。

しかし、この前提はPCユーザーでのみ通じる理屈であり、PCを使わない携帯オンリーのユーザーには通じないのではないでしょうか?
まず、「1.iモード(EZweb)はインターネットのまがい物である。みんな、まがいものではない本当のネットを使いたいはず!」について述べます。携帯は使うがPCは使わない、というユーザーは多くいます。PCは自分専用機とするには高額ですが、携帯なら数万円で済みますし、機種にこだわらなければゼロ円で購入できます。中高生や若い女性に、こういったユーザーが多く含まれると考えられます。そして、その多数いるであろうユーザーにとってはiモードとインターネットの違いなんて分からないし、興味も無いでしょう。ゆえに、1.の前提は携帯オンリーのユーザーには通用しないと思われます。彼ら彼女らにとって大事なのは、本物かまがい物かというよりも、コンテンツのよしあしなのです。
次に「2.携帯のコンテンツはポータルのコンテンツに劣っている。」について述べます。上にて述べたように、携帯ユーザーはインターネットよりもiモードにずっと触れてきたわけです。そのため、iモードインターフェイスとコンテンツが標準となっています。そんな彼ら彼女らに、ソフトバンクがヤフーのコンテンツを独自色で押し出したとして、彼ら彼女らが喜ぶでしょうか。むしろ、慣れ親しんだコンテンツとの違いに、違和感と使いづらさを感じるのではないでしょうか。ゆえに、2.の前提も携帯オンリーのユーザーには通用しないように思います。
以上のように、ヤフーのコンテンツがドコモとauの携帯コンテンツを上回る訴求効果を持つという前提である、

  1. iモード(EZweb)はインターネットのまがい物である。みんな、まがいものではない本当のネットを使いたいはず!
  2. 携帯のコンテンツはポータルのコンテンツに劣っている。

は、携帯オンリーのユーザーには通用しないと言えます。ソフトバンクがヤフーコンテンツを打ち出せば携帯コンテンツは一気に駆逐される、というのは思い込みではないでしょうか。
もちろん、携帯オンリーユーザーとの齟齬が永遠に続くとは思えません。低価格路線でユーザーを取り込みながら、仕様変更を漸進的に繰り返してソフトバンク仕様の(というかヤフー)に慣れさせれば、ユーザーはソフトバンクを違和感無く受け入れるようになるでしょう。ただ、PCコンテンツが携帯で使える!とか、携帯とPCとの連動、といったサービスが本当にキラーコンテンツとなるのか、疑問に感じます。携帯オンリーのユーザーにとっては、固定と携帯の融合など大して興味は無いでしょう。なぜなら、彼ら彼女らのネット生活は携帯で完結しているのですから。

参考リンク
ソフトバンク×ボーダフォン関連まとめ: R30::マーケティング社会時評